陶芸の収縮率で成形寸法を出す正しい式:「×1.15」ではなく「÷0.85」
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この記事について:焼き物を実際に作って焼いた検証記事ではありません。式の計算は Python で検算した結果、収縮率の数値は粘土販売会社などの公開資料をもとにした解説です。焼き上がりは土・焼成温度・形で変わるため、結果はすべて目安です。
1. 結論:成形寸法 = 完成寸法 ÷ (1 − 収縮率)
収縮率は「成形したときの寸法(生の寸法)に対して、どれだけ縮んだか」の割合です。粉体工学用語辞典も、収縮率を生素地からの収縮の割合としています。つまり縮む前の大きさが基準です。
- 焼き上がり = 成形寸法 × (1 − 収縮率)
- 成形寸法 = 焼き上がり ÷ (1 − 収縮率)
例:収縮率15%の土で焼き上がり10cmにしたいなら、10 ÷ 0.85 = 11.76cm で作ります。
2. よくある間違い:×(1+収縮率)
「収縮率15%だから1.15倍で作る」と考えるのは自然ですが、基準の取り違えです。11.5cmで作ると、焼き上がりは 11.5 × 0.85 = 9.775cm で、約2%足りません。
| 収縮率 | 正しい成形寸法(÷) | 間違い(×) | 間違いで作った場合の焼き上がり | 誤差 |
|---|---|---|---|---|
| 6% | 10.64cm | 10.60cm | 9.96cm | −0.4% |
| 10% | 11.11cm | 11.00cm | 9.90cm | −1.0% |
| 12% | 11.36cm | 11.20cm | 9.86cm | −1.4% |
| 15% | 11.76cm | 11.50cm | 9.78cm | −2.3% |
(10cmを狙った場合。Python で計算。)誤差は収縮率の二乗に比例して大きくなります(焼き上がり = 10×(1−収縮率の二乗))。小さな作品なら気にならない差ですが、蓋と身、器と受け皿のように寸法を合わせたい場合は無視できません。また、収縮率自体が±数%ぶれるので、式を正しくしても誤差は残ります。
3. 収縮率の範囲の目安
公開されている粘土の収縮率(焼成後の値)を確認しました(確認日 2026-09-30)。数値のみ引用しています。
- 陶芸.com のオリジナル粘土物性表:信楽系は10〜15%(信楽特選白土15%、古信楽土14%など)、京白土10.5%、磁器土9.7%、楽陶土6.4%、志野土7%、本備前土14.5%。
- 丸二陶料「粘土1」ページの白土11種(酸化焼成):9〜15%(A-26 伊賀土9%、A-19 特練土15%)。
同じ会社の同じ表の中でも6〜16%の幅があります(陶芸.com の表の最大は韓国土の16%)。陶芸.com は、収縮率を通常出荷時の水分量で測っており、±5%程度の範囲で変動すると注記しています。まず使う粘土のメーカー公表値を確認し、可能なら次の第6章の方法で自分の工程での値を測ってください。
4. 乾燥収縮と焼成収縮
収縮は2段階で起こります。
- 乾燥収縮:水分が抜けて縮む。
- 焼成収縮:本焼きで焼き締まって縮む(素焼きではほとんど縮まない、という実測例があります)。
大阪の陶芸教室ルームルームのブログに、白土で電動ろくろの浅鉢を測った例があります。口径は成形時265mm、乾燥後249mm、素焼き後249mm、本焼き後237mmでした。1回の測定で、土も1種類なので一般化はできませんが、段階ごとの割合は次のとおりです(Python で計算)。
- 乾燥:(265−249)÷265 = 6.0%
- 本焼き:(249−237)÷249 = 4.8%(乾燥後の寸法が基準)
- 全体:(265−237)÷265 = 10.6%
段階ごとの収縮を掛け合わせると全体になります。0.9396 × 0.9518 = 0.8943(=1−10.6%)。収縮率を足し算(6.0+4.8=10.8%)しないのがコツです。差は小さいのですが、基準がそろっていないと、メーカーの値と自分の測定値を比べられません。メーカーの「収縮率」が何を基準にしているかは、各社の説明で確認してください(基準の記載がない場合は不明)。この鉢の場合、237mmに焼きたいなら 237 ÷ 0.8943 = 265mm。
5. 長さと体積は違う
収縮率は長さ(径や高さ)の割合です。同じ割合で縮むと仮定すると、体積は3乗で減ります。
| 長さの収縮率 | 体積は | 容量を得るための成形時の体積 |
|---|---|---|
| 10% | 約27%減 | 焼き上がりの約1.37倍 |
| 13% | 約34%減 | 約1.52倍 |
| 15% | 約39%減 | 約1.63倍 |
例:収縮率13%で焼き上がりの内容量200mlを狙うなら、成形時の内側の体積は 200 ÷ 0.87³ = 約304ml です。ただし内側の寸法は壁の厚みや削りで変わり、径と高さで収縮率が少し違うという指摘もあります(知恵袋の回答)。体積の換算は「おおよその感覚をつかむ」用途にとどめてください。
6. 収縮率を自分で測る:テストピース
- 使う粘土で、平らな板(例:約12×3cm)を作ります。
- 生の状態で、定規やノギスで長さを測り、10.0cmなど決まった間隔の印線を付けます。成形直後に測ることと、乾燥と焼成を実際の作品と同じ条件にすることが大事です。
- 乾燥後に印線の間を測り、本焼き後にもう一度測ります(素焼きも測ると段階がわかります)。
- 収縮率 = (生の寸法 − 焼き上がり寸法) ÷ 生の寸法。例:10.0cmが8.7cmなら 13%。
同じ窯・同じ焼成で、作品と一緒に焼くのが理想です。収縮率を測る専用の定規(スケール)も販売されています。
7. 限界
- 焼成温度が高いほど縮みやすく、土・水分量・成形方法(ろくろか、たたら板か)でも変わります。
- 形で違います。皿の径と、湯呑の高さでは縮み方が違うとの指摘があります。厳密な数値は不明です。
- 数値は目安です。合わせたい寸法(蓋など)は、必ずテストピースの実測値と、試し焼きで確認してください。
出典・確認したこと(確認日 2026-09-30)
- 陶芸.com「オリジナル粘土物性表」:https://www.tougei.com/shop/pages/original_nendo.aspx
- 丸二陶料「粘土1」:http://02-maruni.sun.bindcloud.jp/cn6/sirotuti.html
- 粉体工学用語辞典「収縮率」:https://www.sptj.jp/powderpedia/words/10932/
- ルームルーム陶芸教室「粘土の縮み率」(2020-09-25):https://www.room696.com/2020/09/25/%E7%B2%98%E5%9C%9F%E3%81%AE%E7%B8%AE%E3%81%BF%E7%8E%87%E3%80%80%E3%80%80%E9%99%B6%E8%8A%B8/
- Yahoo!知恵袋「収縮率が15パーセントの粘土で…」(2025-02-25):https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11311441156
- 計算:Python で検算(当社)。
この記事は AI の支援を受けて作成し、内容を確認のうえ公開しています。 更新日:2026-09-30